フランチャイズを低資金で開業したい人のために、ロイヤリティの相場情報を調べました。
ロイヤリティとは、加盟店がフランチャイズ本部から提供される経営ノウハウやシステム、ブランドなどを使用するための対価として支払うお金のことです。
加盟店側からは毎月支払うランニングコストになりますが、単なる出費ではなく、安定した経営を行うための必要経費として捉えることができます。
ロイヤリティには、大きく分けて次の3つの方式があります。
「粗利分配方式」は、コンビニエンスストアで主流となっている方式ですが、他の業種ではあまりみられません。
売り上げから原価をざっくり引いた粗利にフィーを掛けるため、その他の経費についての考慮がなされないというデメリットがあります。
「売上歩合方式」は、さまざまな業界でもっとも広く使われています。フランチャイズ本部としては、加盟店側の「儲け」とは関係なく、ロイヤリティを徴収できるシステムだからでしょう。
パーセンテージは、フランチャイズチェーン展開をしている業界・業種・FC会社によって、実に様々です。
全業種での歩合比率をチェックすると、3%未満は全体の12%前後、3~6%は35%前後、7~10%では25%前後と、相場としては10%以下で、5~8%あたりに集中しているようです。
同業よりも明らかにパーセンテージが高い場合は、その理由(ブランド力が圧倒的に高い、サポートが手厚いなど)をみきわめておく事が大切です。
「定額方式」は、粗利、売上を問わず毎月同じお金を払うというものです。資金管理でもわかりやすく、売り上げでもロイヤリティは変動しません。
しかし、売り上げればロイヤリティを除いた分は全て自分のものになりますが、売り上げが乏しい場合は負担となることもあります。
定額制を採用している全業種のロイヤリティ料金相場は、3万円以下は全体の30%前後、3~6万円以下は33%、6~10万円以下は17%。
平均相場は、10万円以下で、5万円前後のロイヤリティ設定が多くみられます。
一口に小売業と言っても、種類が多く相場を1つにまとめることは難しいですが、比較的高めに設定されることが多く平均すると10%程度を考えておくとよいでしょう。
またハンコ屋などの小規模な業態では、5万円程度の定額方式を採用しているケースもあります。支払い方式やロイヤリティ割合により幅がありますので事前に確認しておくことが必要です。
コンビニも小売業の1つですが、粗利分配方式が主流で相場は30~50%と他と比べると高い割合になっています。また営業純利益によって細かく設定されていることもあります。
ロイヤリティだけ見ると儲けが少ないように感じますが、そもそも売上金額が高く、販売システムやサポートが充実しているため安心感があります。
売上歩合方式が一般的で、ロイヤリティの相場は3~8%くらいと他業種と比べると低く設定されています。一見、条件が良さそうですが小売業と比べると開業資金が高めになります。
集客力を高めるには広い店舗が必要で設備投資もかかります。また材料費や人件費、水道光熱費などのランニングコストも合わせて検討する必要があります。
範囲が広いので一概には言えませんが、他業種と比べると原価率が低い代わりにロイヤリティは5~20%と高めに設定される傾向にあります。
例えばクリーニング店なら20~30%、学習塾だと10~20%といった具合です。これは物ではなくサービスが商品のため、目に見えないノウハウや技術の割合が高いからと考えられます。
大手コンビニのファミリーマートでは、FC本部から提供される店舗・ノウハウ・商品提供が完備されているため、売り上げに関して高いインセンティブが与えられています。
ただし売上げに対して、段階別の粗利分配方式を採用されているほか、4パターンで別途のロイヤリティが設定されています。
以下の例に挙げる1FC-A契約以外の1FC-B・1FC-C・2FC-Nに関しても、別途利率を設定されており、売り上げが低い店舗ほど負担が重い設定です。
1FC-A契約の場合 |
|
---|
1906年創業のクリーニング業界の老舗・白洋舎は、時代を先取りするサービス展開で、宅配クリーニングの先駆者。
白洋舎の開業条件は『店舗となる建物・土地の所有』で、ある程度資産がないと参加し難い点もあります。ただし、開業後は確かなブランド力で利益性が高いのが魅力です。
ロイヤリティは、月間売上金額をベースに歩合計算で確定するシステム。具体的には、売上が15万円未満のケースでは20%のロイヤリティとなり、最高で3万円が徴収されます。
また、200万円を超える売り上げが立った月に関しては33%のロイヤリティが発生するシステムのため、ブランド力の高い分、歩合利率も高い設定です。
お弁当系のフランチャイズでは定額制を取っているところが少なくありません。代表的な大手チェーンには、『ほっかほっか亭』や『ホットもっと』などがあります。
ほっかほっか亭では、3タイプのフランチャイズ加盟パターンが用意されていて、個々の計画や資金等によって選べます。
また営業中の直営店舗を引き継げるため、220万円からの自己資金でスタートが可能。業界トップセールのブランド力が売り上げをサポートする事から、ロイヤリティ料金が高めの設定です。
ホットもっとでは直営店舗がそのまま引き継げるメリットがあり、自己資金の持ち出しは290万円以上からと低額です。
もちろん店舗買取のリスクはありません。開業1年後に2店目オープンという成功例も見られます。
小規模事業では企業・開業のハードルを低めるために、ロイヤリティを全く徴収しないフランチャイズも存在。その業種は年々増加傾向にあります。
障害者の自律と労働人口の増加を担う社会貢献事業として活動をしている人材派遣会社。
ロイヤリティゼロと助成金の適用で、短期間での黒字経営をサポートしてくれるフランチャイズです。
こちらも障害者の方の就職あっせん会社で、笑顔プロジェクトと同様にロイヤリティはゼロ・助成金のサポートがあります。
新しい市場を開拓できるニッチなフランチャイズを探してみましょう。
ロイヤリティ次第で、ビジネスの収益性は大きく変わるため、同じ業種のFCを比較検討する場合、ロイヤリティのルールは、最も注意すべきポイントのひとつといえます。
月々の支払額に関しては、フランチャイズの業界・運営元の企業力や、FCの運営方針・加盟プラン(加盟金・契約内容など)によってさまざまです。
とはいえ、当然ながらある程度の相場は存在しています。相場よりも大きく下回っている場合や、逆に大きく上回っている場合、いずれも契約前に、そのフランチャイズビジネスをよく吟味すべきです。
相場より下回る場合には、ビジネスに魅力が欠けている、上回る場合には、開業後の利益を圧迫するといったリスクがあるのでは?と疑ってみましょう。
※収益モデルの数値に関しては、あくまでシミュレーションであり、売上を保証するものではありません。
開業資金であるリスクについて、開業資金が100万円未満をローリスク、100万円以上から1,000万円未満をミドルリスク、1,000万円以上をハイリスクとしています。また、5年間の収益であるリターンについては、収益が2,500万円以下をローリターン、それ以上をハイリターンとしています。なお、各費用の詳細は公式サイトから引用のうえ記載し、5年間の収益については5年間の営業利益から開業資金を引いた額から算出しています。